公正証書遺言とは
公正証書遺言は証人2人の立ち会いのもと、公証人が遺言者の言葉を聞いて作成する遺言です。公正証書遺言は公文書として作成され、強力な証明力を有しています。
公正証書遺言のメリット
最大のメリットは遺言書が無効になりにくい点です。公正証書は強力な証明力を有することから、「この遺言書は本当に本人が書いたのか?」、「認知症で判断能力がなかったのではないか?」といった争いが発生するリスクを下げることができます。
法律の専門家である公証人が作成するため、形式面での不備がありません。
遺言書の紛失、改ざん、隠匿のリスクをなくすことができます。
のちの相続手続の際に家庭裁判所の検認が不要です。
自書が不要なため病気などで文字を書くことができない場合でも、遺言書を作成することができます。
デメリットと費用
デメリットとしては作成にあたってお金や書類集めなどの手間が多くかかる点があります。
費用としては公証人手数料と証人2人への謝礼金(無償でなってもらう場合は不要)がかかります。
公証人手数料は財産の価格や相続人の数などによって変わるので、詳細については以下の日本人公証人連合会のホームページを参照してください。
「Q7.公正証書遺言の作成手数料は、どれくらいですか?」 /https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow02/2-q13
証人への謝礼金は、福岡公証役場に紹介してもらう場合は2人で合計1万円になります。行政書士等に依頼する場合は1人1万円程度が相場です。証人になるための資格はありませんが、未成年者、遺言者の推定相続人(遺言者が亡くなった後相続人になるであろう人)、受遺者、それぞれの配偶者、直系血族などの利害関係人は証人になることができないので注意しましょう。
また公正証書遺言は手間とお金がかかるので、後から内容を変更することが大変です。
公正証書遺言の作成手順
1 公証役場に相談します。
2 必要書類(下記)を収集し、遺言内容のメモを作成します。
3 公証役場で面談予約をして、公証人へ必要書類と作成した遺言内容のメモを提出します。
4 公証人が遺言案を作成します。修正したい箇所があれば修正してもらえます。 内容に問題がなければ、遺言をする日時を決めます。
5 当日は公証人へ、遺言の内容を告げます。そして公証人からの内容について口頭で確認があります。その後公証人が作成した遺言書に遺言者、証人2人、公証人それぞれが署名押印することで公正証書遺言の作成です。
上記2の必要書類について
公正証書遺言の作成に必要な書類等は以下のとおりです。多くて大変ですが、1つ1つ集めていきましょう。
①印鑑登録証明書、運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等からいずれか1つ
②実印(印鑑登録証明書以外なら認印でも可)
③遺言者と相続人の続柄が分かる戸籍謄本
④受遺者(相続人以外で遺産を譲りたい人)がいる場合は、受遺者の住民票又は手紙、ハガキなどの住所がわかるもの
⑤預貯金の通帳(コピーでも可)
⑥不動産がある場合はその登記事項証明書(法務局でとれます)
⑦不動産の固定資産税納税通知書または固定資産税評価証明書
⑧証人が公証役場から紹介された証人以外の場合は証人の運転免許証などの本人確認資料
⑨遺言執行者がいる場合はその住民票か運転免許証のコピー
さいごに
さいごまで見ていただきありがとうございました。全4回の遺言編はこれで終わります。公正証書遺言の作成についての一連の手続の代行や、内容相談、遺言書案の作成について行政書士や司法書士に依頼することもできますので、自分で作成手続を行うことが難しい場合は依頼することも検討してみてください。記事の内容について疑問や質問がある場合はお気軽にお問い合わせください。
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